Podcast「アキテイのちょっとズレた雑談ラジオ」

家族の祈りが会社を支える――秋山逓送 二代目から三代目へ

秋山逓送は、家族で支え合いながら、小さな郵便輸送から少しずつ歩みを重ねてきました。
民営化による厳しい時代の中で、長距離輸送との出会いが会社を前に進むきっかけになります。
「毎日、無事に帰ってきてほしい」――その想いが、今も会社の根っこにあります。
これまでの歴史を二代目社長の奥さんにインタビューしました。


音声(番組)は以下より聴取できます。
https://open.spotify.com/episode/1fs7GjVzZV9pCb9iWqhNOK?si=DZeN7CCASE-a88RVkaCOnQ



以下、テキスト版です。ぜひご一読ください。

 

1.会社を継ぐことになった当初の状況

濱口
「奥さんはご主人と一緒に二代目として会社を継がれたと思うのですが、最初に決まった時はどんなお気持ちでしたか?」

奥さん
「当時は普通の主婦でした。会社も今ほど大きくなくて、番頭さんが事務を見てくれていたので、最初は私自身はほとんど何もしていなかったですね」

創業当初の秋山逓送は、郵便輸送を中心とした小規模な運送会社だった。
トラックは2トン車が主で、汽車の到着時間に合わせて荷物を運ぶ仕事。
汽車に間に合わず、和歌山まで荷物を追いかけたという話もあり、当時の運送の厳しさがうかがえる。

奥さん自身は運転業務には関わらず、当初は家庭に軸足を置いた存在だった。

2.会社に関わり始めたきっかけと不安

濱口
「そこから奥さんが会社に入るようになったきっかけは?」

奥さん
「おじいさんが亡くなって、主人が社長になった頃ですね。長距離便が始まったあたりから、自然と関わるようになりました」

番頭さんの存在が大きかったが、やがて退職し、会社を支える人がいなくなった。
「やらなあかん状況になった」というのが実感だったという。

濱口
「怖くなかったですか?」

奥さん
「その時は不思議と怖さはなかったですね。知らなかったからできたのかもしれません」

知らないからこそ一つずつ覚え、前に進めた――その言葉に、当時の必死さと強さがにじむ。

3.民営化と経営危機、そして転機

民営化の時代、運送業界は大きな転換点を迎える。
運賃は2〜3か月ごとに引き下げられ、経営は厳しさを増していった。

奥さん
「正直、あれはびっくりしました。これではやっていけない、と思いましたね」

その危機を救ったのが「長距離便」だった。

もともと別の運送会社に回るはずだった長距離の仕事。
しかしその会社にはトラックがなく、秋山逓送が車両を貸す形で関わることになる。

「半分はうちにも走らせてください」
その一言から長距離輸送が始まり、最終的には入札を勝ち取る形で正式に仕事を獲得した。

奥さん
「あれがなかったら、もう今の秋山逓送はないですね」

まさに間一髪の転機だった。

4.家族の記憶と三代目の視点

当時、三代目となる総一郎さんは学生だった。

秋山社長
「その当時の財務とかは分からなかったですけど、長距離ドライバーさんが家に出入りして、人が増えたなっていう感覚はありました」

事務所は家の中にあり、社員が家族のように出入りする環境。
それが「会社」という存在の原風景になっていた。

5.今の会社をどう感じているか

濱口
「今、改めて会社をどう感じていますか?」

奥さん
「昔とは全然違いますね。人も増えて活気があって、嬉しい反面、責任も大きいなと感じます」

嬉しさよりも先に出てくるのは「責任」という言葉。
多くの社員とその家族の生活を背負っているという自覚がある。

息子が会社に戻り、事業を引き継いだことへの喜びも語られた。

奥さん
「私と主人だけでは、ここまで来られなかったと思います」

6.健康と「無事に帰る」ことへの祈り

奥さんが繰り返し口にするのは「健康」と「安全」。

奥さん
「毎日、仏壇に手を合わせて、みんなが無事に帰ってきますようにって祈っています」

運送業は事故と隣り合わせの仕事。
だからこそ、「ただいま」と元気に帰ってくる日常を何より大切にしている。

7.創業家の歴史と人となり

創業者は、昭和天皇の料理を手がけたほどの板前だったという意外な背景も語られた。
料理人、水道屋、建築土木、船関係そして運送業――さまざまな仕事を手掛けていたが、最後に残ったのが運送だった。

奥さん
「器用な人だったんでしょうね」

自由で我が道を行く創業者と、それを支え続けた家族。
その歴史が、今の柔らかく温かな社風につながっている。

8.スタッフへの言葉、そして未来へ

濱口
「これから会社を支えていくスタッフの皆さんに、遺したい言葉は?」

奥さん
「安全で、健康でいてほしい。それだけです。毎日元気に帰ってきてほしい」

200年企業を目指す中で、最も大切にされているのは「当たり前の日常」。

濱口
「その積み重ねが、ここまで会社を大きくしてきたんですね」

奥さん
「そうかもしれませんね」

9.最後に

自分の役目を静かに受け止めながら、次の世代へとバトンを渡す準備をする奥さん。

奥さん
「代わる人が出てきたら、その時は譲っていきたいですね。それまでは、もう少し頑張らせてもらいます」

 

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